※この記事は過去に「週間住宅新聞」へ寄稿したものになります。
「実は、異動になりまして」とは、某金融機関の融資担当者からの電話連絡。私たちのビジネスパートナーとしては必須であるアパートローンに対して積極的に融資を実施してくれている同行の融資担当者だけに、金融機関にとっては定期的こととはいえ「ついにきたか」と少々落胆してしまった。
付き合いの深い金融機関ともなると、定例訪問を受けるのは当然ながら、休日も含めて毎日のように案件相談でやり取りさせていただくことが多くなり、人間関係は濃くなりがちである。特にこの融資担当者の場合、融資取り組み可否の回答スピードが速いということも含めて、取り組みができるかどうかギリギリの案件においても、何とか「融資できる」ようにするため動く人であった。
物件および顧客の内容としてはまったく問題ないにもかかわらず一度は融資審査部に難色を示されたような案件でも、融資審査部を説得するための材料を集めるために私たちと協同体制で試行錯誤のうえ融資承認を得られたことも一度や二度ではない。そんな営業姿勢を粋に感じていただけに、今回の人事異動というのはなおさら残念なニュースと言えた。
不動産投資を行うにおいて資金調達を行う場合には、どのようなルートを通すかということが大切であるということは、あまり知られていない。例えば、案件を金融機関に持ち込んでいる不動産会社と金融機関の力関係が融資に影響を与えることがある。
案件の持ち込み数と融資実績の多い不動産会社が相談するのと、少ない不動産会社が相談するのとでは、取り組み可否はもちろんのこと、金利や返済期間などの融資条件に影響を及ぼすことは少なくない。
現実的に、区分ワンルームに対する融資は取り扱わない金融機関でも、1棟アパートや1棟マンションなどの融資実績が多いことを理由に、特別に扱っていただくこともあったりする。そんな「特別規定」が存在するのも事実なわけだ。
また、同じ金融機関同士であったとしても、融資取り組みが微妙な案件ほど、融資実績額が伸び悩んでいる支店の方が積極的に拾ってくれたりすることがある。
過去にあった事例だと、持ち込まれる案件数の多いことで有名な都内の某支店で取り組みNGと言われた顧客が、同行の郊外にある某視点では取り組み可能顧客と判断を受けたことも現実としてあった。
楽な仕事しかやりたくない、より楽に仕事をしたいという心理は、誰の感情にも起こるもので、審査部から難色を示されるような案件というのは敬遠されがちなのは仕方がないところもある。
だからこそ、どの「ルート」を通して資金調達を進めていくべきかという適切なアドバイスを不動産投資家に行うために、特に私たちは普段から、積極的な営業姿勢の融資担当者を常に把握するなどの情報収集と、そのようなビジネスマンとの人間関係形成が大切になってくる。
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