投資家によって異なる「目的」

※この記事は過去に「週間住宅新聞」へ寄稿したものになります。

「借り換えしませんかって言われたのよねぇ」とは、某クライアントからの相談だ。不動産資産のポートフォリオに対する資金調達先はA銀行とB銀行の比率が半分くらいであり、そのA銀行分の既存借り入れに対して、B銀行が自社への「借り換え提案」をしてきたというものであった。

地方にあるB銀行としては、既存貸出先である女性投資家の他行からの借り入れ分というのは、魅力的な融資先に見えたようだ。

さて、その借り換え提案の対象となったA銀行の残債額は3000万円であり、借入金利は2.8%。残存返済期間は25年、ADS(年間返済額)は166万円となっていた。それに対してB銀行の提案内容は、借り換えの残債額3080万円(借り換え時の諸費用含む)に対して、借入金利は3.5%と上がるものの、返済期間は35年と長くなり、ADS(年間返済額)は152万円に下がるというものであった。

すると、B銀行に借り換えすると、年間キャッシュフローはプラス14万円ということになる。単純に計算すると、5年後70万円、10年後で140万円違ってくるから、この差は小さくはない。キャッシュフローで考えると、B銀行へ借り換えた方がメリットはある。

しかし、残債の減少推移も見る必要がある。A銀行の1年後残債は当初の3000万円が2916万円に減る(84万円減少)。
対してB銀行は3080万円が1年後に3034万円と46万円しか減少しない。B銀行へ借り換えた場合のプラスキャッシュフロー14万円を残債に充当したとしても1年後の残債は3020万円(46万円+14万円=60万円減少)である。

さらに4年後の残債となると、A銀行は2649万円(351万円減少)、B銀行は2831万円(193万円+56万円=249万円減少)となり、残債減少額の側面で見るとA銀行に軍配が上がった。

もちろん、B銀行に借り換えた場合は、プラスになったキャッシュフロー分を使って再投資した場合の運用益も加味して判断する必要がある。しかし、この女性投資家はA銀行からの借入を早期返済することが「目的」であった。

実は現時点でも年間のキャッシュフローが700万円あるため、4年後に累積キャッシュフロー2800万円を繰り上げ返済にまわせば、その時点での残債2649万円は完済できてしまうのだ。ちなみにB銀行の4年後の残債は2831万円だから、年間のキャッシュフロー700万円+増加分のキャッシュフロー14万円(714万円)の4年後累積キャッシュフロー2856万円でも4年後に完済できる。

ただ、同時期とはいえ残債額ではA銀行に軍配が上がるのと、そもそも目標達成の時期が一緒であれば、借り換えのメリットがない。つまりA銀行を継続した方が、この女性投資家にとっては望ましい。

このように投資家によって「目的」は様々。私たちには投資家どとの「目的」に沿った柔軟な提案をすることが大切になってくるということだ。

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