出口戦略のスムーズな進め方

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※この記事は過去に「週間住宅新聞」へ寄稿したものになります。

セミナーや書籍などの活動を通じて、個人投資家のクライアントを多く抱えていることを知ってか、「この土地を仕入れてアパートを建てたら、いくらで販売できるでしょうか」と、不動産業者や建築業者の方々からご相談をいただくことがある。

「プランはどんな感じですか?」と続くこともあるが、「その土地だと買い手はつかないですよ」「その価格だと厳しいですよ」と、お勧めしない場合も多い。

また、新築アパートのみならず、区分ワンルームや中古アパートを自社で仕入れた後、エンドユーザー(個人投資家)に売却するといった転売の際の販売価格を聞かれることも多い。

ただ、今も昔も変わらず新築系は比較的資金調達しやすいのに対して、中古アパートや区分ワンルームなどは融資状況がだいぶ変化してきているとはいえ厳しく、買い手側となる個人投資家を取り巻く「旬な」資金調達状況を把握しておくことが転売する側にとっては大切になってくる。

もちろん、これは業者に限った話ではなく、一般の個人投資家が売却する場合でも考え方は同じだ。

例えば、買い手側がその物件と資金調達して購入する場合、「最近のアパートローンだと、この物件はA銀行なら利用できるだろう」「頭金はこれくらい必要だけれど現実的なところだな」「金利と返済期間はこの程度だから、このぐらいの価格で購入できれば収益が生まれるだろう」「そうすると、最低でもこれぐらいの販売価格だったら売却できる(買い手側が購入できる)のではないか」といった具合に計算していくと現実的な売却金額が見えてくる。

あとは自分の販売希望価格とのすり合わせを行っていけばいいわけだ。

販売活動をよりスムーズにするために具体的な融資条件を把握したい場合は、上記のA銀行のみならず、今の自分の借入先に確認してみるのも一つの手だ。

一方、売却して資産の組み換えをする場合には、自分自身が次はどこから資金調達できるのかを把握してから売却を進める必要がある。

売却したその物件の借入金融機関から、再度の資金調達を考えていたとしても、その物件を購入した当時と現在の融資条件が変更になっている可能性は高い。当然ながら自分自身の年齢も進んでいるわけだから組める返済期間も短くなっている可能性もある。

場合によっては、当てにしていた資金調達ができなくなる。手元に残った売却後の現金を活用して資金調達を行わずに不動産を購入してみたり、もしくはほかのローンがあればそちらの繰り上げ返済に充当してみたりと、まだ選択肢は残っているものの、当初の投資戦略の大幅な変更が必要になってしまいかねないので十分な注意が必要だ。

出口戦略といってもそれで終わりではなく、実は次の一手の入口でもあるのだ。

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