「やりたい」投資と「できる」投資は違う

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※この記事は過去に「週間住宅新聞」へ寄稿したものになります。

ちまたにあふれる不動産投資の成功体験に触れたことがきっかけで、「自分もこうしたい」「こうなりたい」という方からも、コンサルティングの依頼を受けることがある。話を聞いていくうちに、「そういえば先日ご相談に来られた方も同じようなことを言っていたな」と、おそらくその「手法」が流行っているのだと気付く。そうした流行の手法の多くは書籍やインターネットから得た知識によるものが多いようで、「利回り○%以上の物件を買え」「フルローンで物件を買え」など、具体例を挙げれば暇がない。

具体的に不動産投資を進める前に”学ぶ”ことは非常に大切だ。ただ、気を付けなければならないのは、他人の成功体験を導いたその「手法」が、必ずしも正しく、かつ自分にも当てはまるとは限らないということだ。むしろ、当てはまらないことの方が圧倒的だと思った方がいい。

なぜなら、不動産投資でどれくらいのキャッシュフローを得たいかといった目標(ゴール)をはじめ、不動産に投下できる資金などの資産的背景や、目標達成までに掛けられる時間は一人ひとり違うし、どれぐらいのリスクを許容できるかも人によって異なるからだ。

仮に、取得した不動産から年間1000万円のキャッシュフローが今すぐ欲しいと思ったとする。
しかし、全額現金購入する場合を除き、用意できる自己資金の多寡によって必要な資金調達の手法や額というものが異なってくる。

現実的には、不動産投資に対して積極的な金融機関をいかに探せるか、そこから自分は本当に資金調達できるのか、調達可能だとすれば一体いくら調達できるのかが問題になる。それらのポイントによって現実に取得「できる」物件の選択肢が決まってくるわけだ。つまり「やりたい」不動産投資と、実際に「できる」不動産投資とは異なる。まず金融機関の融資条件を把握し、何が「できる」のかを知ることが不動産投資では大切になってくるのだ。

また、複数の金融機関から資金調達できる状態だったとしても、キャッシュフローを最大化するには、金融機関を金利だけで選択してはならない。金融機関への返済額が少ない方が手残りであるキャッシュフローが厚くなるのは誰でも分かる。しかしこの借入返済額は金利だけでなく、返済期間によっても決まることに注意しなければならない。

例えばA銀行は金利2%で返済期間が20年、B銀行は金利3%で返済期間25年だった場合、1億円を借りるとすると、A銀行に対する返済額は月額607万円、対してB銀行への返済額は月額569万円になる。一見有利に見える金利の低い資金調達が、実際の返済額は多くなってキャッシュフローを圧迫するということだってあるのだ。

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